ヨーロッパ買い付けの旅 2020春⑥

イギリスの買い付けを終えてTGVでフランスに向かいます。いつもよりも電車はすいていたのでなんとなく安心。
この長距離列車でフランスに行くんだな~といつも実感するのは二人組(以上)の乗客のほとんどがワインボトルを手に乗り込むのを見る時。これだけでもうフランスに行った気分です。

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(チラッとワインボトルが見えます。と手前はキョーレツに効くのど飴。)

フランスはパリが一泊のみでその後はいつもの南仏ですが、イギリスよりもフランスの方が危機感があるようでした。タクシーに私が乗るやいなや窓を全開にしたり(なるほど、と思いました)、フリーマーケットでは出店者はゴム手袋で対応。街なかでは皆、マイアルコール消毒液を持参して食事前に手指と椅子・テーブルを拭き、、と、今までに見たことのない光景が広がっていました。イタリアが近いこともあるんだろうな~。けど、マスクは誰も着けていません。「マスク着けたいな・・」実はイギリスの後半から風邪の症状が続き、恒例のイギリス風邪薬『レムシップ』と驚異的に効くのど飴を手放せなくなっていた私。これ以上悪化させたくないのと、誰かに移しちゃいけないという思いとでとにかくマスクを着けたかった。でもさすがに街なかでは着けられない。一斉にみんなが見るからなんとなく・・
でもどういうわけか “今から買い付け” となると、しんどいのもコロナの事も全てが吹っ飛んでしまうからオドロキです。

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(だ~れもマスクをしていないフリマ)
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(フリマのお昼時。ちゃんとテーブルを囲んでシルバーのカトラリーを使って食事をするフランスらしいこの光景が好きです)

いくつものフリーマーケットをはしごして、いよいよ最後の大きなアンティークフェアーへ!
「・・・・」
ホントにもう・・・・となるくらいに出店数が少なかった。
アンティークフェアーはちゃんとした業者が多いので仕方がないのかもしれません。わかってはいたけれど、でも、少ない。聞くとイタリアからの業者がほとんど来ていないとのこと。その上買い付け業者も少ないから。ガラ~ン。
ガラガラの会場を一体何周したでしょう~
そんな中でひときわ沢山の人が群がっているブースを見つけました。

近付いていくと・・・

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あー日本のモノだ~!!
日本のモノを扱う業者は最近、いろんなところで見かけるようにはなってきましたがそのほとんどは藍染めのモノです。ここまでいろいろと幅広く売られているのは今まで見たことがありません。ここは日本?と錯覚を起こすほどの物量です。流ちょうなフランス語で右から左、前から奥へととっても忙しく動き回っている日本人?のお兄さんがこのお店の主のようです。
とても興味がありましたが、モーレツに忙しそうだったのでその時はその場を離れましたが出店数も少なくお昼過ぎには買い付けが終わって、さあ帰ろかなと出口に向かっているとその男性が向こうからニコニコしながら歩いてきたので、思わず「すごいですね~」声を掛けてみました。話してみたかったんです。
ニコニコ笑顔の通りとても感じの良い方だったので嬉しくて、色々と聴きたくなり(人と話したかったこともあり)お店の片付けを手伝いながら話しを聴くことにしました。しかしスゴイ量・・・
男性店主は30年以上フランスで生活したあと、一度日本に帰国したけれどこの仕事の為、またフランスにもどってきたそうです。どおりで・・・あのフランス語!
日本のリサイクルショップに集まってきた古い道具や飾りモノや衣類(主に着物)を送ってもらい、フランスやヨーロッパ各地の市を中心に販売しているとの事でした。藍染めなどの人気のあるモノではなく日本でどこにも行き場がなくなったモノ達を何とかしたい、という業者の考えに賛同して長く住んだフランスで新たに商いを始めたそうです。
確かに木彫りのクマも有名な彫師のは高値取引ですがその他大勢は・・・でもフランスで普通の木クマを見るとちょっと新鮮に感じました。海外の方の視点だと全く違うモノとして見えているのかもしれません。そういえば、お店に来られる海外の方が私が外国で仕入れたモノを見て「なんでこんなんを?」という顔をされていることがあるな~ それと同じかも。。
・・・そんなことを考えながらトラックへ積み込みのお手伝いをしていたら「リヨンまで行くから乗っていく?」と嬉しいお誘いが!なんやかんやで重くなっていた荷物と共に約3時間、止まらないおしゃべりで盛り上がりながら帰途に着きました。楽チンな上、とても楽しい車の旅でした。きっといつも通りに出店者が多かったらこれは無かっただろうな・・

最後は梱包から郵便局までのラストスパートが待っていましたが、ロンドンの郵便局の出来事を思い出しながら、また笑顔で行くと、いつも愛想が悪いフランス郵便局員の方が同じように笑顔で対応してくれました、はじめて!!!
もうこわいものなし、です。次回のアメリカでも通用するのか?が楽しみになってます 笑

振り返ると、今回の買い付けはコロナに始まりコロナに終わった旅となりましたが、いつも以上に得るモノは多かったように思えます。今回は外食は皆無でしたが、知り合えた方も多かったし現地で生活している人にしか分からない色々な話も聴けたし。そして、郵便局がコワくなくなったし。どこでも笑顔は最強なんだということを再認識できたのは大きい。ま、いつもこれ書いている気がするので忘れないようにしないとですね。。。

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美味しいものが沢山並ぶ『ポールボキューズ市場』のカヌレと共に・・・

La fin