ヨーロッパ買い付けの旅 2020春⑤

ようやく本格的に買い付けが始まります。イギリス滞在4日目にして。この日からの大きなアンティークフェアーではスピード勝負になるので、写真はほぼ撮れないのですが、今回はいつもと違い出店数(買い手も少ない)が三分の一程度しかいない(勿論コロナ)。なのでいつも以上の焦りがそれに追い打ちをかけました。写真はなんと一枚も撮れなかった。。。です。

2日間同じ場所で行われるフェアーなのですが、2日目は雨の予報。ということは・・この三分の一から更にお店が減るということ。初日になんとかしないと!
各地のバイヤーさんも私と同じ思いなのか?みんな選ぶのがすごく早いように感じます。だから余計に焦る焦る。見た瞬間に「買います!」と言わないといけない雰囲気で。迷ってなんかいられない・・・バイヤーも少ないから店じまいも早いし。「やめて~」心の中で絶叫しますが、まぁそんなの知るかって感じですよね。で、消化不良のまま初日が終了。ガーン。

2日目。前夜からの雨の後のぐちゃぐちゃの地面を長靴で歩きます。
「あら?!」意外とお店は出ていて、初日と違い売り手も買い手もなんだかのんびりモードです。時間が経つとともに空も段々と明るくなってきたこともあり、なんとなく楽しい気分になり嬉しなってきました。そうすると買い付けもノッて来ます♪いいぞいいぞ。
けれど2日目は大体昼過ぎには終わるので、急げ急げ。初日以上に集中して見ていきます。すると売る方もバイヤーが少ないのでいつも以上にお声がけ。怪しい露天商のごとく方々から声がかかる。
「ちょっと見ていかへんか?」みたいな・・少し見ようもんなら「それ○○ポンドでどぅ?」と。帰ろうとすると「○○ポンドッ!」と掛け声が背中を追いかけてくる。それを見ていた向かいの店主が「うちにもこんなんあるんやけど」と私が興味を持ちそうなモノをすすめてくる。お店は少ないけれど一軒一軒が濃い。こっちも必死であっちも必死だからやり取りが面白くてつい乗せられて買ってしまったりして。大型家具も多いのでホイホイとは買えないけれど気持ちはそんな感じ。ワッショイワッショイ♪

そんなこんなで全て終わってみると・・なんか多くない?いつもよりたくさん買い付けているではありませんか!! 買い付け途中でなぜお金が無いんだろう?と思ったのはちゃんと買えていたからだったんだ、と後で気付きました(笑)
ぁあ楽しかったな~。コロナでお店は少なかったけど充実の2日間でした。
{おまけ}
全ての積み込みを終えてトラックに戻ると方々で車がスタックしていました。[スタック:泥に車がはまって動けなくなること]
そこにゴゴっと現れたのがこの写真の物体=車です。ヒョイと手を握って持ち上げるように次々と車をぬかるみから救い出していきます。その光景がもぅスゴすぎた。ただただみんなで拍手。友人が以前アメリカでスタックして救出まで3時間かかった、、というのを思い出しました。この車だとものの数分。
“カシャカシャ”ここでようやく写真を撮れました。貴重な1枚。フフ・・

イギリスの残りの日々はもちろん買い付けでしたが、『ポートベローマーケット』の市がまたまた素晴らしかったです。買い付けするにはちょっと値段が合わないので見るだけでしたが、こだわりのお店が多くて目の保養になりました。

IMG_20200306_095654
アフリカ等の民族衣装?を置いていたステキなお店。「売り物じゃないのよ」とアーティストの店主。
IMG_20200306_094439
すごく感じの良いリメイクトートバッグ発見。「僕の私物。売れないんダ、ごめんね」と男性店主


そうして、イギリスでの長い7日間は毎度おなじみの郵便局(騒動)で終わりをむかえます。
毎度お世話になっているホテルに近い郵便局は、いつもとっても意地悪で感じが悪い。でも実は私が緊張してこわばった顔をしているからそうなっているんじゃないか?と昨年イタリアの郵便局で学んだ教訓を胸に、今回は笑顔を心掛けてとにかく感じ良くいってみることにしました。
入っていくとコロナの影響か?並んでいる人がとても少なくてなんとなく郵便局員の表情も明るい(気がする)
「ハイ!はろ~」満面の笑みで窓口へ行き(心の中はドキドキ)手続きをスタートします。「日本にこれを送りたいんだけど」下に置いている大きくて重さマックスのパッキンを指さします。と案の定、女性局員の表情が嫌そうになりダラダラと手続きを始めました。いつもはここで私もイラッとしてしまのですけど今回はとにかくニコニコ。そのままでひたすら待つ(心の中はイライラ)。
・・・するとだらだら手続きをしていた相手が段々笑顔になってくるではないですか!そして送料を提示する時「こんな金額になっちゃうけど・・」いいの?みたいな感じで聞いてくれた。だから私も思わず「うわ~たか~い。もうちょっと安くならないかなあ?」と心の声が外に出てしまった。
そ・し・た・ら、
局員「OK!じゃあディスカウントしてあげるわ」ウインク
私「え?」「さんきゅ~」(心の中はええええ~うっそ~⁈)
ディスカウントって何?ディスカウントって、、そんなんあり?
見れば60ポンドほども安くしてくれている!嬉しくて大きな笑顔で感謝を伝えます。彼女もニコニコです。
その後、残りのパッキン2つも大急ぎで持ち込み、結局3箱でトータル180~190ポンドほど安くなりました。
笑顔の力をこの時ほど思い知らされたことはありません。

後日フランス在住の友人にこのことを話すと、郵便局員も同じ人間だからやっぱり感じの良い人には感じよく接してくれるんだ、こっちではよくある事だよ、と。
なるほど・・・とても勉強になる出来事でした。