ヨーロッパ買い付けの旅 2024年冬⑤
今回はイギリス来てすぐの数日の北の方のマーケット以降は、ほぼ毎日ロンドン近郊のフリーマーケットやカーブーツセールをまわったので、空いた時間は夕方だけという感じで街歩きがほとんど出来なかった事が残念ですが、フリマ近くにあるお店（ベーカリーショップやコーヒーショップ）にはせっせと行きました。最近の傾向なのかな？雑誌やSNSで取り上げられている人気店は、味は違えどもつくりがどこも良く似ているなと思いました。内装はツルんとしてシュッとしてカッコ良い、働いているスタッフは愛想よくオシャレで値段はそこそこしますが味も美味しくとてもいい感じ。後でボヤ～っとしか思い出せないのも共通している点です。そんな中、他と全く違っていて強く印象に残ったお店があります。最終日に行った東ロンドンにある『DUSTY KNUCKLE Bakery』というベーカリー＆カフェです。
まず立地が変わっている。通りに面していなくて大きな建物に挟まれた路地のスロープを降りた奥にあります。通りからはお店は見えません。迷いました、何度も通り過ぎた。通りから見たらどう見てもスーパーマーケットの奥にある廃棄場所か、はたまた車の修理工場か駐車場にしか見えない空間、怖いお兄さんが出てきそうな…え、そこ？な場所です。でもどうもその先にあるっぽい。おそるおそる坂道を下った先に…あ、あった！てな感じです。良くみたら表示がありますがわかりずらい、そんなベーカリー＆カフェです。
(↑まさかこの右側の半分しか開いてない門の先にあるとは・・・)
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坂を下りた先には広い空間がバーンと現れます。
とても大きな敷地には2つくらいの建物と外で食べられるスペースがあります。建物のひとつにパン工場とカフェがあり、もう一つは良く分からないけどスタッフが出入りしていたので材料倉庫みたいのがあるのではないかなと思います。外のイートスペースはドラム缶でこしらえた立ち食べ用テーブルの他にいくつかの大きなテーブルとベンチがあり、一度に沢山の人が食べられるように工夫されていてレンガの壁のグラフィテーがウェルカム感満載で、中のイートインスペースも簡易な作り（IKEAの椅子とか）でラフな感じ。何時間いても許される雰囲気です。そしてパンの販売コーナーは小さいけど手書きのメニューがそそられます。しかも価格が非常にお手頃！です。
この売り場の奥でパンを焼いたり作ったりしていますが工場のように大きくて、全てがスコーンと見渡せて気持ちが良い。
丁度お昼近くて座る席がなかったので、とりあえずトートバッグと小さなパンを購入して持ち帰ろうとしたら、粉で白くなったエプロンのスタッフが上段に並んだ3種類の大きなサワードゥブレッドを指さして「どれが良い？」と。
「え？」
「いらない、そのパンはいらない、ノーノ―」
と言うとトートバッグを買ったからそこに入れてくれるというではありませんか⁉私のつたない英語読解力のせいで詳しくは？ですが多分そう。更にトートバッグは2つ買ったので2つ選んで、と言う。「ぇえー」嬉しいというよりも頭の中？？だらけで完全に思考が停止してしばしその場に突っ立ってしまった私。（思いもよらぬことをされるとこうなるというお手本）が、ふと殺気を感じて後ろを見ると長蛇の列が！
「すいませーん」「ソーリー」
とにかくすぐ2種類選んだらA４サイズくらいの袋それぞれに一つずつサワードゥブレッドを入れて手渡してくれました。お店を出てしばらく歩いてもビックリが収まらなかったです。
そのサービス含めこのベーカリーカフェは思いもよらぬ楽しく嬉しいサプライズがいっぱいで、お店の雰囲気も自分達の手でこしらえた感じの飾らないこだわり？みたいなのがあって”ぁあ好きだな～”と思いました。また行きたい！とても印象に残りました。
後日談として…もらったサワードゥブレッドはしかし、私が食べることはなかった。実はこの後すぐに空港に向かわなくちゃいけなくて。パンを持って帰りたかったけれど、もう荷物がパンパンでどこをどうしたって大きなパン2個は入らなかった、てか１個もダメだった…悔しい。パンは荷物を預けていたホテルで働くスタッフの胃の中におさまりました。嬉しそうだったから良しとします。でも次回は食べる！
振り返ると今回のイギリスの旅は買い付け以外の時間が無かった割に色々な場所に行けたな～と案外充実した内容だったように思えます。久しぶりに早足でしたが『TATE MODERN』にも行けたし、
テスラにも乗れたし。（ウーバーで呼んだ車がなんとテスラだった！近未来の車、イーロンすごい）フランスではお宝を見つけたし。買い付けではいくつか想定外のことはあったけれど珍しくトラブルなく終われたのがありがたかったです。ただ、やはりやはりレートには振り回された。。。何を見ても高く感じて『Harrods』ではっちゃけるまでは何も出来ない買えない食べれないって思ってしまって苦しかった。ここ最近は毎回言いますが、前回の旅の時よりもっと日本経済に危機感を感じた数日間でした。イギリスのスーパーマーケットでこれを見つけた時だけ”サイコー”って思えた。
（旅の間、何度も助けられた1.2ポンドのカップ麺。ちゃんと美味しい。ありがとう日清食品）
＝終わり＝