ヨーロッパ買い付けの旅 2022年春 ①
「焦った~」というのが今回の旅の総括というか感想です。
いつもじゃないの?と言われるとまぁ何とも言えない・・けど今回のはちょっと違う。3年ぶりのヨーロッパ買い付けで感覚が鈍っていたのかもですが、とにかく今までの買い付けの中で一番、ハプニングというか、失敗というか、予測のできない事の多い旅でした。。。
それは出発前から始まりました。
出発直前にロシアによるウクライナ侵攻です。
これは一番予測のできなかった事!
…で、ヨーロッパ行きの飛行機がもろに影響を受けました。私が予約していた日本の航空会社の飛行機は飛行自体が取りやめとなったので(今現在も飛んでいない)、急遽、同日出発できる別の航空会社の飛行機を探す羽目に。ギリギリにチケットをゲット。しかしギリギリなので航空券が高い!(戦争で高騰していた)もともとマイルでチケットを取っていたのでその差額たるや。。。ぁあああ。でも取るしかない。というのも今回の旅はまずフランスに入国して、翌日すぐにイタリアに移動、その翌日にはフリマ。というキチキチスケジュールだったので出発日の変更はできなかったのです。ぅう仕方あるまい。。。
次にPCR検査です。
ラッキーなことに、私が行く頃、フランスは入国条件としてPCR検査の陰性証明もワクチン接種証明書も全て必要なしとなりました。イタリアはまだ必要(抗原検査でも良い)です。
それなら!フランスに到着したらすぐに空港で安い抗原検査の陰性証明を取り、それを携えて翌日にイタリアに入国しよっと。これで日本で高いPCR検査を受けずに済むゾ、と元々取っていた予約を2日前にキャンセルしたんですが、よくよく調べてみると、飛行機に乗るためのPCR検査陰性証明書はまだ必要(なようだ)ということが発覚。慌ててキャンセルのキャンセルをして病院にはなんとか滑り込みセーフ。締め切り10分前でした。。。
コロナの対策は国によって全く違うので、また内容もコロコロ変わるので、いくつかの国をまたぐ際には特に要注意です!このコロナ対策に最後まで振り回されることになろうとは…この時は知る由も無し。
そんなこんなでしたが当日に飛行機が飛び立った時には心からホっとしました。戦争の影響で飛行時間が通常よりも3時間くらい長いのは疲れますが、乗客が30人くらいだったのでまあ良しとします。とりあえず、、、出発です!前置き長かった・・・スミマセン。
旅はイタリアからです。
南イタリアのプーリア地方は2度目です。以前来てとても気に入ったのでもう一度行きたいな~とずっと思っていました。歴史を感じる古い建物が美しく年代物のテラコッタの器や壺の風合いが素晴らしい、そして何を食べても美味しい。光の力が強くて眩しくてその太陽の下にいると明るい気持ちになれる、自然に笑顔になる場所です。アメリカのカリフォルニアも同じように真っ青な空ですが何か違う。プーリアはカリフォルニアにいるときみたいにパーッとはしゃぎたくなる浮かれた気持ちにはならないかも。面白いですね。
そんなプーリア地方はブーツの形をしたイタリアのつま先部分にあります。フランスからだと飛行機で意外と簡単に行けます。直行便(2時間くらい)もあるしミラノやローマからは曜日によりますが何本か飛んでいます。今回私はフランスからミラノ経由で行きました。その日の最終便、夜の到着です。空港に降り立ち「ああ着いた~」とひと安心。
・・・のはずが、出口から出ようとしたまさにその時、「君、君。」空港職員とおぼしき制服を着た厳しい目の(マスクで目のみ)男性に呼び止められました。
職員「何しにここに来た?」
私「買い物です」税関職員だとわかったので正直に自分はアンティークを買い付けに来たバイヤーだと伝えると、
職員「ちょっとこっち来て」
私「・・・・」
他の乗客が出口に向かうのを横目に一人別室に連れて行かれる私。別室って何なん?その時点で既に恐怖を感じているのに、追い打ちをかけるように部屋に入るやいなやワラワラと数人の制服男性が集まってきて私を取り囲むじゃないですか?!何な~~~ん? 狭い部屋に4,5人と私。ぎゅうぎゅう。。コロナ禍なのにこの人数って。あり?
すぐに尋問が始まります。
職員「いくら持って来てるんや?」
私が金額を伝えると、
職員「見せてみろ」
マジで?ここで?この皆のいる前で?
え?ってな顔で職員を見たら超絶真顔でうなずくので、しぶしぶウエストポーチ、腹巻、首から下げた袋のそれぞれからユーロを全て出し机に置きました。イタリアが初っ端の買い付け場所なのでまあまあな額です。
盗られたらどうしよう?いやそれは無いだろと自分に言い聞かせているものの、ここはイタリア。税関職員でさえ信用できない…空港出て追い掛けて来たらお金は置いて逃げよ、いやそれは…助けを求めよぅ、…って誰に?と頭の中がとにかくうるさい。
まぁでもとりあえずはこれで終わるはず、、、
しかし!そのリーダーがお金を一枚一枚数え始めた!!
ウ、ウソやろ・・・・
これにはビックリです。大体の税関は目的と金額を聞いて終わりなのに*
数え終わるまでじーっと待つ我ら。(私とその他職員)
数分ののち、金額に偽りが無かったことが確認できたようで、うんと頷きようやく釈放です。
職員「気を付けろよ」
私「・・・(苦笑)」
職員「良い旅を!」
私「・・・グ、グラッツェ」
なんだかなぁ。
もちろん空港を出るとガラ~ン。タクシー乗り場まで猛ダッシュで行ったのは言うまでもない。
「ふぅ焦ったァ」
こうしてヨーロッパの買い付けの旅が始まりました。
*注:税関職員には絶対にウソの申告をしてはいけません!ウソが分かると罰金や即時国外退去、数年間入国出来ない等の罰が待ち受けています。ヒー。